プーケット  ケープ・パンワ





(ホテル ケープ・パンワ アプローチ)

 バンコクでの生活も5年目に入っていた。株主総会も終わり、後任も日本から来ていた。本帰国まで秒読み段階だった。が、帰国時期はまだ決まっていなかった。

 4月のソンクラン(タイ正月)にプーケットに行っていた。これが最後だと思っていたが5月にも連休がある。もう一度プーケットに行っておこうと思った。もう一度木になっているカシュウナッツの実を見たかった。

 2週間しかなかった。インターネットでホテルを探す。高級と言われるところはどこも予約でいっぱいだった。もっとも98年当時はまだインターネットでの予約をやっていないホテルはいっぱいあった。

 バンヤン・ツリーチェディのようなヴィラ形式のところがいいと、いくつか電話したがどこもいっぱいだった。もう一度インターネットで空いているホテルを探した。ケープ・パンワに部屋があった。デラックス・スイートを申し込んだ。
 
 この頃タイ人が英語で書いた小説「THE KING KONG EFFECT」を読んでいた。著者は Paul Adirex 。 アメリカで教育を受けた政治家でビジネスマンという人。著者紹介文の中には前の外務大臣とある。本当だろうか。小説の中身は007の映画のようで肩が凝らない。この本にケープ・パンワが良く出てきた。そんなことからケープ・パンワ ホテルも行ってみたかった。

 余談だが、「THE KING KONG EFFECT」にはバンコクのルンピニ公園やデュシタニ ホテルが出てくる。ゴールデン・トライアングルも出てくるし、日本人のMr.WATANABEまで出てくる。プーケットが舞台なのでデュシット・ラグーナシェラトン・グランデ・ラグーナといった有名ホテルがいっぱい出てくる。アメリカ大統領まで出てくる。ちょっとサービスのしすぎの感がある。

 著者の4冊目の小説。前作には「Until the Karma Ends」、「Mekong」という、
ビルマ(ミヤンマー)やラオスを舞台にしている本もある。ラオスに行ってみたいと思ったのもこの本の影響かも知れない。内容的にはこちらの方が良いように思ったが中身はほとんど忘れてしまった。

 ちなみに、もう一冊の本は「The Pirates of Tarutao」。プーケットの南、マレーシア国境に近いタルタオ島を舞台にした話だ。確かにこのあたりは海賊もやっていけそうな雰囲気がある。
 


(ボートからホテルの部屋が見えた)

(港にいた日本の船)

 ホテルは何とか確保できた。問題は飛行機のチケット。家の近くにできていた日本人向けスーパー2号店の入り口にあった代理店に依頼した。やはり満席でキャンセル待ちになる。タイ人の店員はきっとキャンセルが出る、というがなかなか取れない。最悪バス旅行かな、思っていた。
 
 数日前になって取れたと連絡があった。結局タイ航空が臨時便を出すことになり、そのチケットが取れた。
 

 ホテルはキャンセルが結構出るようだが、飛行機はキャンセルは少ないようだ。この時もホテルに電話を掛けまくったせいか、直前になってプーケットのどこかのホテルから部屋がとれそうだがどうか、という電話があった。

 飛行機は臨時便だったためかタイ人はほとんどいない。日本人も少なめで白人がやけに目立つ。午後の便で時間帯が悪いせいかも知れない。

 パンワ岬はプーケットの中でもズーっと南の方にある。それでも道路が良くなっているので思ったより早い。地図でみるとカタ・タニよりも北になる。意外だった。

 ホテルは岬の先端、それも高台に建っている。ホテルの前は急な上り坂だった。ロビー、フロントを抜けまっすぐ突き当たったところが部屋だった。木製の廊下、途中に置かれたテーブルと椅子、いずれも年数が経っているが悪くはない。

 
 

 籐の応接セットもゆったりと置いてある。窓からは海が良く見える。三方が海。ベッドの横の窓からは港が見える。


 窓が大きい。海に向かって大きなガラス戸。

 そして、何よりベランダが大きく、明るい。
 




(広いベランダは眺めが良かった)

  2泊3日ではあったが、午後着いて、午前には帰るという贅沢な日程だった。

 真ん中の日にピーピー島へ行った。ホテルのフロントで申し込んだツアーだった。ホテル ケープ・パンワでは日本人に会わなかった。もともとここまで来る日本人は少ないかもしれない。

 そのためか参加したツアーがどうにも分かりにくかった。

(ベランダからケープタウンを望む)
 港ではいくつかのツアーが同じような時間に出発する。しかもピーピー島での滞在時間や回るコースを事前に選べる。それなりに融通がきくようになっている。港でボートに乗るときから日本人の多いツアーと少ないツアーがあるようだった。

 港には日本の船が停泊していた。船乗りというのはいろんなところへ行っているんだ、と改めて思った。

 ボートから振り返ると丘の上のホテルが見える。CAPE PANWAの看板。われわれの部屋が見える。

 ビーチでのんびりした。さすがにもうビーチでの過ごし方にもなれた。お陰でビーチで撮った写真がほとんどない。昼食も混雑はしていたがまあまあだった。 

 午後はツバメの巣を取るところへ行った。随分上のほうでツバメの巣をとっている。口を開けて巣を見ないように、とガイドが言っている。上からほこりのようなものが落ちてくる。

 ここの桟橋は順番待ちで次々にボートが着く。
我々のツアーは英語での説明。でも次に着いたツアーには日本語の説明。

 
いくつかのツアーが一緒になると少し不安になる。ガイドもわれわれのことを注意していたようで、この後プーケットに帰るがそれで良いか、と念を押す。
日本人客はピーピー島に泊まる人が多いのかも知れない。



(ピーピー島のビーチ)
 
(ツバメの巣の洞窟へ)

 ホテルのビーチにも降りてみる。途中大きな洋館がある。レストランとして使っているようだ。

 ビーチに出る途中にサルがいた。ファミリーのようで子供もいる。人には慣れているようだ。カメラを向けても逃げない。いつも、こんなに手入れが行き届いた庭で過ごしているのだろうか。羨ましい限りだ。
 


 ホテルのビーチはこじんまりとしている。周りからは急な山で遮られている。隠れ家のような雰囲気がある。人も少なく昼寝には最適。もっともわれわれにはあまり時間が無かった。

(ホテルのビーチ)

 もう一度見たかったカシュウナッツの実はホテルの中庭にあった。エントランスから我々の部屋に続く廊下は平坦だったが、そこは実際には2階になる。廊下からは階下の庭が見渡せる。庭には大きな木がいくつもあり、その木のひとつにその実はなっていた。まだ青かった。

 チェックアウトのとき、支払いにはタイ・バーツが決済口座になっているアメリカン・エキスプレス・カードを出した。フロントの女性は一緒に入れていたVISAカードを目ざとく見つけて、そっちがいいという。せっかくバーツを減らそうと思っているのに、と躊躇した。AMEXは回線の繋がりが悪くて時間がかかる、そっちのほうがいい、とかなり強引だ。しょうがない、とカードを取り替えた。とたんに女性の笑顔が魅力的なものになった。

 ホテル ケープ・パンワは超一流というわけではない。しかしデラックス・スイートの部屋は広くて、ロケーションが最高だった。料金も日本のホテルのようにデラックスだからといって際立って高い値段設定をしているわけではない。切羽詰って選んだにしては良い選択ができた。